1.研究の遂行 今年度は、以下の2点について、学部学生の協力を得て、予備段階の調査・実験を行った。 1)関係節境界曖昧文の処理傾向と、個人のワーキングメモリ容量および語彙力の関係 2)付加詞接続に関する曖昧文の処理傾向と、個人の言語バックグラウンドの関係 1)については、質問紙調査(不完全文完成課題・百羅漢)およびリーディングスパンテストで同一の被験者グループからデータを収集している。データ収集は翌年も継続して行い、分析をする予定である。 2)については、本学学部学生および東京外国語大学・上智大学の学生の協力を得て、異なる言語バックグラウンド・英語運用能力を有する学生のグループを対象に、英語付加詞(前置詞句・関係節)の接続に関する曖昧性を有する文の理解調査とを行った。この結果、外国語である英語の処理において、単なる読解力、理解度の差のみならず、その処理偏向において、母語における処理傾向の影響がみられることが示唆された。 2.研究発表およびレビュー これまで蓄積してきた当該研究の基礎となる研究について、8月にニューヨーク市立大学のJanet Fodor教授のレビューを受けた。また、6月には日本認知科学会・11月には米国にて開催されたJapanese and Korean Linguistics Conferenceで講演を行い、国内外の研究者からのフィードバックを得、また今後の研究の参考となる情報交換を行った。
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