研究概要 |
研究計画に従って、平成16年度は以下のような調査研究を実施した。まず、平成14年度の調査結果を踏まえて、4月から7月にかけて沖縄県における人称表現の実態を明らかにするための量的調査実施に向けてアンケート調査票作りを行った。8月にアンケート調査票を印刷し、9月から10月にかけて郵送調査法により沖縄県内の19校の中学校・高等学校で調査を実施した。調査対象地域は、沖縄県全域とし、沖縄県を国頭、中頭、那覇、島尻、宮古、八重山と6区域に分け、各区域の主な方言発祥地の市町村から層化多段抽出法によって調査対象校を抽出した。調査対象者数は中学生1,885人、高校生1,452人、教員306人と、概ね各区域全体の生徒数を母集団とした場合の信頼度95%(誤差±5%以下)のサンプル数を上回る数を得ることができた。アンケート調査票による調査項目は、(1)各相手・場面で自分のことを何と言及するか(自称詞)、(2)各相手のことを何と呼ぶか(対称詞)、(3)各相手から何と呼ばれているか(対称詞)、(4)各相手からの呼ばれ方の好悪、(5)各相手・場面でのことばづかいの注意度、(6)沖縄県で用いられる主な方言形の人称表現についての認識度・使用度、(7)人称表現に関する意識調査の七項目である。アンケートによって得られた回答は全て統計的に処理し、個人のデータや回答が特定されないよう配慮した。調査結果から沖縄県の中学生・高校生の主な人称表現使い分けの特徴を示すと次の通りである。(1)男子生徒の主な自称詞は「おれ」「じぶん」である。(2)女子生徒の主な自称詞は「自分の名前」「じぶん」である。(3)対称詞については際だった男女差は見られず、「おまえ」「名前のよびすて」が主である。(4)男女問わず、「名前のよびすて」で呼ばれることを好む。(5)沖縄県内の方言形の使用は多少のばらつきは見られるが、使用度は高くはない。なお、各区域、各校の調査結果の詳細は全て研究成果報告書で明らかにしている。
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