本年度4月には前年度にインド・ジャールカンド州のラーンチー市を中心として行った現地調査のうちクルフ語に隣接するケルワル諸語についての資料を分析し、9月にReport on the preliminary survey of the dialects of Kherwarian languages (共著)としてJournal of Asian and African Studies 66に発表した。5月からはクルフ語語彙のオンライン・データベース構築のため、辞書データの入力を始め、2月までにaからdhまでの入力を終えた。 当初は今年度に予定していたマルト語の調査については、話者であるマレル族のインフォーマントに接触することができず、またブラーフイー語についても、パキスタン・クエッタ地方の情勢不安から調査を見送らざるを得なかった。しかし平成16年2月にはジャールカンド州ラーンチー市に行き、ラーンチー大学地域部族言語学科の協力を得てクルフ語の言語資料を収集した。前年度は基礎語彙の収集に重点を置いたが、今年度の調査では民間伝承の採取をすすめ、昨年度のラーンチー県、ロハルダガ県に加え、グムラ県のインフォーマントを得て、10人以上のクルフ語話者から録音した。現在その録音の書き起こしと分析を進めており、順次ウェブ上で公開することを予定している。
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