本年度は、研究期間2年目であり、これまで蓄積してきたデータの整理、および、聞き取り調査によるデータの補完を中心に進めてきた。また、夏に現地調査を4週間行い、その過程の中で、これまでの収集したデータの再確認をインフォーマントとの聞き取り調査を通じて行い、データの精度を上げるとともに、あらたなネワール語による出版物の収集、および、解釈を行った。しかし、インフォーマントの都合などで、当初予定していた調査時間数を消化することができず、調査の綿で十分とはいえない結果に終わった。しかし、このような中でも、特に使役、助動詞、類別詞、文体的な表現についての分析を中心に進め、これらの文法項目についてかなり深く調査することができた。このうち、類別詞に関しては、30ページ程度の原稿を取りまとめ、類別詞に関する書籍の一部として16年度中にくろしお出版から出版される予定である。また、次年度最終年度に取りまとめる予定であるネワール語語彙集を制作するためのデータベースを改定する予定であったが、技術的な問題で、十分に実現ができなかった。データベースの改定は、次年度に持ち越すこととする。これまでのところ、収集語彙は、5000語近く有り、うち、基礎語彙約1000語程度についてはコロケーションや語法の記述調査を終了した。しかし、まだ未整理のデータがかなり残っており、これらのデータの整理と解釈について、16年度も継続して行う予定でいる。最終的には、辞書の原型となる8000語程度の語彙集を取りまとめたい。
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