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2002 年度 実績報告書

気候変動の防止に向けた多様な政策手法の活用と国内法制度の整備に関する研究-排出権取引、課税、協定等の相互補完的・複合的導入をめぐる欧州の取組みを事例として-

研究課題

研究課題/領域番号 14720014
研究機関長崎大学

研究代表者

奥 真美  長崎大学, 環境科学部, 助教授 (30304968)

キーワード気候変動税 / 気候変動協定 / 排出権取引 / イギリスの気候変動対策 / 気候変動税パッケージ
研究概要

本年度は、気候変動税、気候変動協定、排出権取引制度といった複数の政策手法をひとつの壮大なスキームの下で統合的に活用する試みを展開している、イギリスの気候変動対策および法制度を中心に調査・研究を行った。調査にあたり、イギリス環境食糧農村省、ロンドン大学インペリアル・カレッジ、ドイツ連邦環境省等に対するヒアリングを行うとともに、関連する行政資料・文献の収集・分析を行った。
京都議定書のもとでEUとしては2008年から12年までの間に8%の温室効果ガス排出量を削減することが合意され、イギリスには12.5%の削減目標が割り当てられた。この達成に向けてイギリス政府は、2010年までに90年レベルに比して20%のCO2排出量の削減を図るという独自の国内目標を掲げ、税と排出権取引といった経済的手法と協定とを気候変動対策の中心施策として位置付けた。2001年4月からは、気候変動税と気候変動協定とを組み合わせた気候変動税パッケージが、その一年後には、排出権取引制度がスタートしている。前者は、エネルギー効率の改善または炭素排出量の削減に関する目標値等の達成について政府との合意を経て気候変動協定を締結した業界/企業に対して、生産業、商業、公共部門が使用するエネルギーに課されている気候変動税の80%の減免措置を講じるものである。法的根拠は2000年財政法に置かれている。気候変動税による収入は、国民健康保険料の0.3%削減、企業による省エネ対策や再生可能エネルギーの導人に対する補助として還元される。排出権取引制度は、運輸、電力、家庭以外のすべてのセクターと6つの温室効果ガスすべてを対象として、07年3月までの5年間のパイロットプロジェクトとして導入されたものである。同制度への参加方法としては、(1)協定の目標値達成のために制度を活用する場合、(2)インセンティブ金を政府から受け取る代わりに過去の実績に基づき算定されたベースラインから一定の排出削減を図る義務を負い、その義務を達成するために制度を活用する場合、(3)その他の場合とに大別される。中心的な位置をしめるのは(2)で、この場合のインセンティブ金と排出削減義務はオークションをとおして設定される。現時点ですでに明らかになっている課題としては、まず、気候変動税パッケージについては、協定への参加資格がなく税の減免措置をいっさい受けることができない業界団体が存在していることから、パッケージの裾野をどこまで拡大して業界間の公平性を確保していくのかという点がある。また排出権取引については、さほどの努力をせずとも排出量の削減が容易な企業が積極的に参加しており、その結果として、排出量の供給が需要を上回る状況が生じる可能性が高いことなどが指摘されている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 奥 真美: "イギリスにおける気候変動対策 -気候変動税、気候変動協定、排出権取引制度の統合的活用-"日本エネルギー法研究所月報. 第159号. 1-5 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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