本研究は、オープンソースモデルについての法的構造についての分析検討、オープンソースモデルが機能するメカニズムと現代日本の法制度との関連性の解明及び検証、イノヴェーション促進、さらには情報財一般の創出・流通のための制度的枠組みとしてのオープンソースモデルの可能性と実現のための法的枠組みへの指針の獲得を目指すものである。 本研究の一連の計画としては、(1)研究に必要な基礎的資料の収集とその充実(2)資料分析、検討項目の洗い出しと整理、(3)検討各項目についての研究、(4)各研究項目を統合させた総合的検討と追加的研究項目の抽出、(5)最終的な取りまとめ"に分類している。 平成14年度は、(1)及び(2)に十分な検討期間を割り当て、検討項目が明確となったものについては(3)の研究へ着手することを予定していた。 平成14年度の研究実績としては、当初の計画に従って、基礎的資料の収集及び資料分析、個別的検討項目の洗い出しに重点を置いた。そこで抽出された重点項目としては、オープンソースモデルを構築する上での法的基礎となるオープンソース・ライセンスの法的性質、とりわけライセンス契約の一種であることを前提とした場合、契約法上の課題として、契約成立の有効性、契約の効力範囲の解釈等が大きな課題となることが明らかとなった。加えて、インターネットなどの情報通信ネットワーク上でオープンソースソフトウエアが頒布されるような場合、国境に関係なく流通することから、契約の準拠法決定の問題も生じうることも確認した。 平成14年度において収拾した情報や基礎的分析に続けて、平成15年度も継続して情報の収集と主な検討事項についての確定を行うとともに、(3)以降の各検討事項についての研究と総合的検討を進める予定である。
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