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2002 年度 実績報告書

民事司法改革実現のための効果的な不服申立システムの検討

研究課題

研究課題/領域番号 14720029
研究機関成城大学

研究代表者

安達 栄司  成城大学, 法学部, 助教授 (50273157)

キーワードドイツ / 司法制度改革 / 民事訴訟法改正 / 上訴制限 / 不服申立 / 審級内不服申立 / ヨーロッパADR / 手続裁量論
研究概要

平成14年度の研究目的は、効果的な司法制度の設計のために、手続内不服申立のシステムである控訴および上告について上訴制限の観点から検討することである。具体的な研究対象は、2000年に大胆な控訴制限を実現したドイツの新民訴法の状況である。本年度は、新法施行にともなう実務の混乱をうかがわせる裁判例も公表され始めた時期でもあった。これらの最新の判例といっせいに改訂された体系書及び注釈書を収集して、新法の問題点を検討することができた。他方で、現在の司法改革の原動力となった政治的および政策的な背景を調査するために、ドイツ・ケルン大学手続法研究所をベースにして現地調査を実施した。法改正論議において当初の草案の修正を引き起こす決定的な批判を行ってきた研究グループへのインタビュー、並びに実際に新法の運用において難問に直面している実務家からの意見聴取をすることができた。
以上の研究の成果として、ドイツの新民訴法、特にその上訴制限に関する法改正は、理論的にもまた実務的にも満足のできるものではないという評価が支配的であることが明らかになった。具体的には、許可控訴の要件である「重大な意義」の概念が不確定なので、混乱をきたすこと、一般的な控訴受理の手続は控訴制限及び控訴裁判所にとっては何の効果もないこと、むしろ手続の遅延が見込まれること、他方で、控訴制限の代償として、審級内の不服申立手続が新設されたが、対象事件が限られることから特に意味のある改正とはいえないこと、しかし、憲法裁判所の負担を軽減する方法であることは評価できること、などがあげられる。
その他に、ドイツの民事司法改革に関連して、裁判手続における裁判官の裁量の限界、並びにヨーロッパ全土の動きとしてADRの強化の問題について生じている新動向も調査を始めることができた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 安達栄司: "不法行為地に基づく国際裁判管轄の審査方法"NBL. 735. 91-97 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "わが国における米国クラス・アクション上の和解の承認適格"石川明先生古稀祝賀・現代社会における民事手続法の展開(商事法務刊行). 上巻. 245-274 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "破産宣告決定に対する即時抗告期間"NBL. 743. 64-67 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "破産財団に対する新たな滞納処分の可否"青山善充ほか編・倒産判例百選[第3版](別冊ジュリスト). 246-247 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "チクリカス・ヨーロッパ民事訴訟における仮の権利保護制度に対するヨーロッパ人権条約の影響"比較法学(早稲田大学比較法研究所). 36巻1号. 330-328 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "売却許可決定に対する執行抗告において抵当権の不存在または消滅を理由とすることの可否"NBL. 749号. 58-61 (2002)

  • [文献書誌] 安達栄司: "小林秀之=園尾隆司編・条解民事再生法(分担執筆 第207条から第210条)"弘文堂(4月刊行予定). 25 (2003)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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