平成14年度は、研究実施計画に沿って、日本国内で収集可能な文献資料の収集・分析に重点を置いた。 その結果、米国連邦公務員制度については、合衆国建国から現在に至るまでの身分保障制度の成立・展開の大要を明らかにすることができた。また、身分保障制度の雇用保障機能という観点からは、公務員の任命権について定める規定が当該公務員の解任権を認める趣旨も含むものであるかという点に関する判例法理の発展、身分保障手続の発展とそこにおける実体的デュープロセス法理の適用、団体交渉・労働協約制度の発展など、公務員身分保障制度が雇用保障機能を有するものとして認識されてゆく過程における重要な転回点となる要素をいくつか抽出することができ、平成15年度に重点的に検討すべき点が明らかになった。 一方、州法レベルの検討については、各州の判例・法制度を概観した結果、公務員身分保障制度の内容に加えて、当該州における民間部門の解雇制限法理と公務員身分保障制度の比較および、州・自治体レベルにおける公務員団体交渉・労働協約制度のあり方に着目した検討が本研究の目的達成のために有用であるとの示唆を得ることができた。また、かかる示唆に基づき、平成15年度に重点的に検討を行うべき法域として、ニューヨーク市・州、ミシガン州、オハイオ州、モンタナ州、キャリフォルニア州などの候補を絞り込むことができた。 なお、本研究は、計画当初より平成14、15両年度を通じて研究成果を取りまとめることを予定しており、平成14年度中には本研究に関する成果の発表は行っていない。
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