1.本研究は、付添人や民間ボランティア、自助グループなどの「新しい担い手」が少年司法に関与する可能性を視野に入れ、非行予防、観護措置、審判、矯正・保護の各段階における「社会的援助」を通した「社会との繋がり」を確保するための措置のあり方を明らかにすることを目的としている。 2.この研究目的のもと、本年度は、歴史的展開の分析を継続し、非行予防に関する統計分析と実態調査を行うことを計画していた。 3.本年度において実際に従事した作業は、(1)ドイツにおける社会的援助の歴史的研究と(2)日本の少年司法に関する実態調査、である。殊に昨年度から着手している少年司法における付添人の役割と社会的機能については、ほぼ実態調査も終えることができ、来年度中にはその成果を論説として公表できる予定である。 4.「研究発表」に掲げた「ドイツ行刑法第五次改正法について-再社会化思想のゆくえ-」は、(1)の研究作業の過程において明らかとなった社会的援助ともかかわりの深い「再社会化思想」をめぐる昨今の議論状況をまとめ、公表したものである。また、これまでの調査活動の成果は、2003年5月24日に開催された日本刑法学会第81回大会分科会3「改正少年法の現状と課題」の報告「少年司法の現状と課題-改正少年法に関する理論的検討-」として結実した。本報告の成果については、来年度論説として公表される予定である。
|