平成14年度の本研究課題の研究実績としては、二年間の初年度として充実した研究進捗を図ることができたと評価している。 第一に、当初の計画の通り、本研究費補助金を利用して、8月に短期での海外研究調査に赴き、イギリスのロンドンにて公文書館(Public Record Office)で首相関係文書、外相関係文書、外務省文書、閣議録などの史料を収集し、バーミンガム大学図書館特別資料室にて、アンソニー・イーデン関係文書を閲覧してきた。これにより、1950年代イギリス外交を理解する上での重要な基礎を固めることができた。 第二に、最新の研究書を購入することにより、研究の大幅な前進を図ることが可能となった。とりわけ、1950年代イギリス外交史研究において、近年大幅な研究の進展が見られる中で、十分な図書を購入して最新の専攻研究を吸収し、自らの研究の意義と視野を確認することとなった。 初年度の研究計画は、主として本研究を完成する上での、史料収集と先行研究分析などに置かれていたが、その計画は十分に達成できたと考えている。次年度は、さらに史料収集及び研究書の購入を進めると同時に、これらの資料を総合して、体系的な論文及び研究書として公刊することを目指すことになる。とりわけ、アンソニー・イーデン英外相の役割を中心に、1954年から1955年にかけての緊張緩和外交とヨーロッパ安全保障体制の確立との相互連関を明らかにして、国際安全保障と平和の条件を検討することにしたい。
|