平成14年度の本研究では、展開のめまぐるしい欧州宇宙産業政策を中心に研究、分析を行い、欧州宇宙機関と欧州連合の制度的関係の展開に着目して分析を行なった。その成果として日本EU学会年報論文を発表した。ここでは欧州宇宙戦略の展開によって、より一層グローバルな市場変化に欧州各国が一丸となって対応し、競争力をつける施策を分析した。また、グローバリゼーションの展開が欧州と日本とでどのように影響の差が出ているかを見るため、日本の宇宙政策にも言及し、フランス語雑誌であるHERMESに日本の宇宙政策と社会状況の連関性を論じた論文を発表した。ここでは、日本の宇宙政策が内向きの論理にとどまっており、グローバリゼーションに対する認識の低さが明らかにされた。さらに、グローバリゼーションの一形態である欧州統合の進展を踏まえ、欧州宇宙政策の変容を捉えるために、EU拡大と制度の柔軟性の導入に焦点をあわせた、理論的研究も行なった。その成果は筑波法政に掲載される予定である。また、同様の研究を対外的に発進するため、3月29日にアメリカEU学会(European Union Studies Association)にて報告する予定である。これらの研究では、欧州各国の国家的政策目標が欧州レベルに媒介されているが、EUの制度的硬直性により、政治的な意思が尊重されないメカニズムが固持されていることによって、戦略的な産業政策である宇宙産業政策の柔軟な展開が困難になっており、その結果、欧州宇宙機関と欧州連合の関係の整合性がとりにくくなっていることを指摘した。
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