平成15年度の本研究では、展開のめまぐるしい欧州宇宙産業政策を中心に研究、分析を行い、特にEUにおける宇宙政策立案、執行の問題について分析を進めた。その成果として、英語で単著Policy Logics and Institutions of European Space Collaborationを執筆、出版した。また、EUレベルでの制度的な変化を受け、宇宙開発事業団(当時)から複数の委託研究を受け、その報告書を二編執筆した。同時に、『筑波法政』において、EUにおける意思決定メカニズムの分析を行なった論文を発表した。これらの研究の集大成として、11月に行なわれた日本EU学会で欧州における制度の柔軟性と安全保障問題を総合的に取り扱った報告(「EUのかっく台と共通防衛安全保障政策における制度の柔軟性」)を行い、この報告が評価されたことで、来年度の学会紀要に研究論文が掲載される予定になっている。また、欧州における宇宙開発の研究を進めることで、国際的な共同研究に携わる機会も増え、フランス国立宇宙センターを中心とした、比較宇宙政策研究の共同プロジェクトに参加するのみならず、フランス国立科学研究センターにおいて、日本の宇宙政策についての調査分析の報告も行なった。加えて、こうした欧州、日本の研究は国内における諸機関や企業で求められているものでもあり、経済産業省の産業構造審議会を始め、宇宙航空研究開発機構、日本航空宇宙工業会などで日欧の宇宙政策に関する報告なども行なった。
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