各国際組織の財政システム、人事システム、業務運営システム、政策形成プロセスの制度と運用は各国際機関毎に大きく異なっている。具体的には財政・人事政策・決定におけるライン系統組織幹部の役割、事務総長等の事務局の長の役割、財政部局、プログラム部局、人事部局の役割、職員組合の昇進ボード等における役割は異なる。また、近年は、NPM(New Public Management)を念頭に置いた結果指向型予算ということで、様々な業務運営システムの改革が行われつつある。さらに、キャリアデベロップメントパターン(昇進パターン)も各国際機関によって異なる。今年度は、以上のような観点から、タイプの異なる様々な国際機関を対象に資料収集と分析を試みた。具体的には、伝統的な機能的技術的機関であるITU(国際電気通信連合)、比較的歴史のある保健分野の活動機関であるWHO(世界保健機関:ITUと同様に技術的基準設定機関としての側面と途上国における援助実施機関としての側面を持つ)、UNICEF(国連児童基金:子供というシンボルを駆使すること等で財源調達上等様々な工夫を行っている現場活動機関)、WTO(世界貿易機関:貿易基準設定機関であるが近年は環境・衛生基準等や政府調達等も非関税障壁という観点から対象分野とすることで管轄を拡大しつつある)を対象に、制度、人事、財務、組織運用について資料収集と分析を行った。そのうち、環境や科学技術領域におけるWTOの最近の活動拡大に関しては関連した若干の論文を執筆し、公表した。
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