今年度(最終年度)の研究業績の要約は別紙の通りであるが、それ以外に、同テーマについて約30点の日英両語の論点やインタビュー、研究会・講演会の発表がある。極めて、生産的な一年であった。 最も大きかったのは、戦後日米関係と沖縄(および奄美)に関する3冊の出版(別紙)であった。なお、一冊目の『沖縄問題の起源』は、第15回アジア・太平洋賞(特別賞)および第25回サントリー学芸賞(思想・歴史部門)のダブル受賞した。 以上の活動は、本研究に深い関連性をもっている。すなわち、歴史的背景や基盤に基づいて、復帰後の沖縄と日米関係を理解し、考察するのに欠かせない視点となったからである。 今年度、予定どおり、数回にわたって国内外の調査を行ない、極めて重要な資料や情報を集めた。 特に、復帰後の世論や政治についてより深い理解ができた。少なくとも二点の新しい見解ができた。一つは、知事選だけでみるのは、不十分であることと、反基地運動(およびその関係する人物・組織)の一貫性があり、したがって、より長いスパンでみる必要があること。今年度、それを導入しようとしてきた。 さらに、今問題になっている基地再編の問題について徹底的に調査を行ない、信頼できる情報を得ていた。今動いている課題であるので、報告書にはどこまで入れられるかわからないが、沖縄の今後の方向性をきめるという意味では、結論に部分に触れたいと考えている。 現在、「復帰後の沖縄と日米関係 地元政治と基地問題についての考察、1972-2002」と仮題する数部構成の報告書を用意している。それに基づいて、来年度の5月15日(復帰記念日)にむけて、本として刊行する準備をしている。著書だけでなく、より広くかつ早く見られるために、PDFという形で、大学のホームページに掲載してだれでもどこでもアクセスできるようにしたいと考えている。
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