1993年以降の政党政治の変動が地方分権改革の政治過程にどのような影響を与えたのかを探る観点から、以前の改革過程に比して、政策結果・政策過程・アクター・リソースに関して変化が見られたか否かに焦点を絞って研究を進めてきたが、平成14年度に補足した政治家などを中心としたインタビュー調査と審議会議事録などの記録等の精査作業をもって調査そのものは概ね完了した。平成15年度では、名古屋市に出張し現地の地方分権改革関連資料を追加したほかは、主として調査結果を英文論文としてまとめることに意を注いだ。 このように本年度における研究活動は、前年度までに収集した資料を整理した上での論文執筆となり、英文論文の第一稿を完成させたが、研究経費としては、論文執筆のためのデスクトップ・パソコン及びレーザープリンタ、メモリ・図書・ソフトウェア・文房具などの消耗品費、研究補助・資料整理などのための謝金、名古屋での調査・研究を目的とした国内旅費が主な支出となった。 英文論文の第一稿は、1980年代のフランスにおける同様の地方分権改革の政治過程との比較という枠組みの中でまとめ、Democratizing Policy Communities? : The Politics of Decentralization in France and Japanという仮題の論文として形となった。この論文は、平成16年3月13日に日仏政治学会、日仏会館フランス事務所、在日フランス大使館主催の日仏シンポジウム「地方分権と地方自治の変容-日仏比較の視点から-」にて、「地方分権改革の政治:日仏比較の試み」として報告された。
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