本研究の初年度にあたる平成14年度は、中止や撤回といった政策の終焉(ポリシー・ターミネーション:PT)に関する理論的検討を中心に研究を進めた。本年度の研究内容としては、第一に、改策過程全体におけるPTの位置づけや、特に政策評価とPTとの関連を検討するために、近年発表された政策研究に関する文献の講読を進めた。政策の決定や評価の段階に比して、PTに関する関心や研究蓄積は未だ乏しい現状にあるため、本研究においてはPTに関する理論枠組みの構築がまず必要であり、既存の政策研究や事例からの示唆を得ながら、修正を重ねつつ進めている。第二に、事例研究を行う準備作業として、いくつかの事例に関する資料収集を行った。近年増えつつあるダム建設等の公共事業の中止の事例などは、理論的検討にも有効な視座を提供している。また事例研究に当たっては、研究代表者が過去に行った技官制度に関する研究(なお、この研究は、平成9、10、11年度文部省科学研究費補助金(特別研究員奨励費)による「行政とプロフェッション・プロフェッション団体との関係に関する研究」の一部である)の成果も取り入れ、政策過程に携わる主要アクターとしての技術系行政官の役割に留意した分析を行うことを検討している。
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