本研究の目的は、一連の政策過程の最後に位置づけられる、政策の終焉=ポリシー・ターミネーションに関する理論的検討及び実証研究を行うことである。 第二年目の平成15年度は、主に次の二つの課題に沿って研究を進めた。 第一の課題は、前年度に行った、ポリシー・ターミネーションに関する理論的検討を受けてこれを継続し、最新の文献を講読することなどにより、分析の基礎となる理論枠組みの構築を行うことであった。そして、第二の課題は、主に日本の公共事業を対象としたケース・スタディのための資料を収集し、基礎的な調査を行うことであった。昨年度は、この研究に有効な題材を提供するケースとして、特に、中止されたダム建設のケースに関する調査を行ったが、本年度は、その他にも道路建設など広い分野の公共事業に関する調査も行うように努めた。理論枠組みの構築が、個別のケースの理解や整理に役立つ一方で、個別のケースを詳細に検討することによって、その理論枠組みを修正し、より精緻化することが可能になる。二つの課題は相互に関連しており、平行して進めることは効果的であった。また、ケースを検討する際には、公共事業の政策過程において主要アクターである族議員や中央省庁の技官などを含む政治と行政との関係、また地元の知事や市町村長などのアクターを焦点とする地方の問題などの論点にも留意した。特に、研究代表者のこれまでの研究業績との継続性から、中央省庁の技官に関する調査は重点的に行っている。
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