本年は、これまでの研究を踏まえた著書・論文の執筆・出版を前半に、海外における学会発表や研究課題に関する調査を後半に行った。 前者に関しては、本年度春に集中的に作業を行い、最終的に秋に『同盟の認識と現実』を出版することができた。また、同著の英文版Alliance in Anxietyを夏に改訂して索引作成後、本年度3月にRoutledge社から出版できたことは幸いであった。次に後者に関しては、夏にアメリカ政治学会、2月にオーストラリア・ブリスベンで開催されたGriffith Universityでの日本政治外交に関する会議で研究成果の発表を行った。また、3月に財団法人交流協会の推薦で台湾を1週間ほど訪れる機会を得て、交流協会台湾事務所、海峡交流基金、大陸委員会、中央研究院等を訪問し、「台湾問題」に関する意見交換を行うことができた。その間、世界平和研究所や内閣府関連の民主主義研究会において本研究課題に関する論文を執筆することができた。また、本研究課題と関連して、来年度には中央研究院にて訪問研究員として一定期間滞在することに関する約束を取り付けることができた。 総じて本年度の研究は、研究課題の基本的事項に関して調査を行いながら、幾つかの論文を執筆できたものであった。次年度は基本的事項から一歩出て、「中台問題」に対するアメリカの政策に関して検証を試みる予定である。とくに、2004年3月の台湾総統選挙がアメリカの東アジア外交に与える影響に関して、台湾での現地調査をも行いながら論文を書いてみたいと考えている。台湾の選挙分析とは異なり、本研究課題はその国際政治的意義を探るものである。
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