本年度は、まず資料収集に努めた。国立国会図書館憲政資料室、外務省外交史料館、東京大学法学部附属近代日本法政史料センターなどを訪問して、一次資料の閲覧・複写を行った。スケジュールの都合上、予定していたアメリカの国立公文書館での資料収集は実現できなかったが、その所蔵資料を複写したマイクロ・フイルムのプリント・アウト作業をアルバイトに依頼して行った。その結果、アメリカでの資料調査の前提を整えることができた。そのほか、イギリスをはじめとする西欧諸国との比較を念頭において、書籍の購入を進めた。概ね予定通り資料収集を行うことができた。 以上の作業と並行して、本格的な論文の執筆の準備を進めるとともに、全体の構想に関わる試論的な論文を書き上げることができた。第一法規から今年出版される予定の『日本政党史録』の第3巻に収録されることになっている「鳩山・石橋・岸内閣期の政党と政策-一九五五年体制の確立過程」である。この論文は、一九六○年体制論と対比させつつ一九五五年体制論を検討し、それに新たな意味付けを与えた上で、一九五○年代後半を一九五五年体制の確立過程として分析したものである。この分析は、2002年12月に東京大学出版会から刊行された単著『一九五五年体制の成立』の結論部分にも、要約的なかたちで盛り込むことができた。
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