経済理論では、企業が他国の市場に参入する時、その企業は輸出をするか、又、現地で生産するかの2つの選択技があると通常は仮定し、しばしば研究されている。しかし、ここ数年、米国や欧州の企業の中には、日本の自動車市場へさらに参入するため新たな方法を選択している。それは、現地の自動車製造社との資本提携である。一つの例としては、ルノーが日産自動車の大株主となり、事実上の経営者となったことがあげられる。提携の利点として、自由化、技術進歩、規模の経済性を得るためなどがあげられるが、この持ち合い株式の急増が自動車市場に与えている実際の影響について、実証的に検証することにより資本提携が望ましいかどうかを研究したい。 これまでに関連する研究をまとめているが、その中で、Motta(1993)のモデルに基づいて持ち合い株式を取り入れ、資本提携が製品差別化に与える影響を検証してみた。また、現時点においては、Brod and Shivakumar (1999)のモデルを参考にして研究開発のスピルオーバーを取り入れ、資本提携が企業の行動に与える影響を検証しているところである。 同時に、日本の自動車産業の25年間の時系列クロス・セクションのデータを集め、コンピューターに入力した。今後は、参考にあげた各モデルを拡大した独自のモデルを完成させ、推定の段階に入る。それにより、外国企業との資本提携が企業の生産量、利益、製品差別化などの市場結果に与える影響を実証的に推定する。
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