研究概要 |
研究に必要なシミュレーション用の基礎モデルを2つ構築した。ひとつは動学的応用一般均衡モデルであり、これによって炭素税の効果とエネルギー間の代替効果を把握できる枠組みを用意した。 もうひとつは、空間的部分均衡モデルであり、これによって電力自由化によって、口本国内の各地域間でどのような電力の流れが生じるかを把握できる。予備的なシミュレーションとして、自由化によって各地域で参入が生じたときの影響を分析した。くわえて、送電部門の価格設定が、全国の送電パタンにどのような影響を与えるか(または与えないか)を分析した。その結果は、(2002)"A Spatial Equilibrium Analysis of the Regulatory Reform in the Japan's Electric Power Industry" (with Shu-ichi Akiyama),draft.としてまとめられ、空間公共経済学研究会(2002年9月、於:東京大学経済学部)、および、応用地域学会(同年11-12月、於:岡山大学)において報告された。この論文で報告された主要な成果としては、自由化によって新規電源が大規模に参入してきたとしても国内の電力ネットワークにはほとんど有意な混雑は生じないこと、参入規模におよそ比例するように各地域の電力価格は低下して厚生改善効果が大きく期待できること、既存電力事業者の生産者余剰が大きく削がれること、があげられる。
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