1.国内外での調査…国内学会・研究会(日本経済学会、日本統計学会、関西計量経済学研究会)及び海外学会(Econometric Society Winter Meeting)において、理論研究の成果の調査と研究者との意見交換を行った。 2.先行研究の整理…理論研究について、特にデータに構造変化力溌生しているとき、種種の単位根検定を用いた場合に起こりうる問題について整理した。 3.データの収集・加工…アメリカ及び中国についてデータの収集・入力・集計・加工を行った。 4.理論研究…データが複数回の構造変化を持つとき、単位根検定として広く用いられているDickey-Fuller検定について、これを用いた場合に起こりうる仮説検定の誤りについて理論的研究を行なった。この研究は、昨年度、日本のデータを用いて行なった実証研究において観察された特異な現象について、それを理論的に説明する目的でなされたものである。分析において、統計量の漸近分布を導出し、その挙動を考察した結果、真のデータ系列が定常過程または非定常過程のどちらに従っているかにより、大きく異なった結果が得られることが判明した。また、系列がどちらの過程に従っていたとしても、単位根検定において分析者が誤った判断を下す可能性があることを明らかにした。 5.モンテ・カルロ・シミュレーションにより、4での理論研究の結果が小標本においても概して成立することを確認した。 6.学会報告…4、5の研究成果について、関西計量経済学研究会において報告を行った。 7.論文作成…4、5の研究成果を基にして学術論文を作成した(現在投稿準備中)。
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