研究概要 |
平成14年度は、東アジア域内貿易における決済通貨選択行動に関する実証研究を行った。本研究は、特に通貨危機以前と以後で決済通貨選択行動にどのような変化が見られるかに焦点を当てており、同年度内に東アジア諸国の貿易決済通貨に関する時系列データの調査・資料収集という準備作業を終えた。平成15年度中に実証分析を終えて、論文を完成させる予定である。また、日本の輸出企業の決済通貨選択行動について分析した論文をレフリー制の学術誌に掲載するために投稿を続けていたが、同論文がAsian Economic Journal, Vol.17, No.2, 2003に掲載されることが決定した。 もう一つの研究として、最適通貨圏の基準の一つである金融市場の統合度という視点から、日本-東アジア間の金融的リンケージを分析した論文を作成した。具体的にはReal interest parityをテストすることによって東アジア域内の金融的リンケージの計測を行っている。分析手法としてはTime-varying parameter modelを用いており、アジア通貨危機以前と以後で金融的リンケージにどのような変化が生じたかを分析している。本論文は、平成15年7月にオーストラリアで開催されるInternational Congress on Modelling and Simulation 2003で報告することが決定しており、同学会の報告論文集Proceedings of the International Congress on Modelling and Simulationに本論文が掲載されることが決定している。平成15年度は、本論文をさらに改訂した上で、海外のレフリー制の学術誌に投稿する予定である。
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