今回の研究では、最初に台湾総督府の技師組織と主要技師の動向について分祈を行った。分析方法は、総督府の人事について、毎年の『総督府職員録』や『総督府報』での界動記事を用いながら洗い出して整理するものであった。本年度内に台湾総督府の明治・大正時代の技師組織の概要、および主要技師の動向(採用および官職の変遷)については、おおよそ整理できた。本年の成果の一部は「1910年代台湾の地方農政」や「技師から見た植民地時代の台湾鉄道」で発表した。残りの成果については、平成15年度以降において、さらに補足と検討を加えた上で(例えば、主要技師については、総督府赴任前および離任後の動向を加える)、公表の予定である。また昭和前期についても、分析を準備している。 研究経費は、本研究に関連する記事をを集めたCD-ROMが発売され(発表と同時に予約購入)、また収集した印刷物資料の整理に好都合なスキャナが販売されたため、予定と相違が生じたものの、いずれも活用できた。備品・消耗品は、これら資料の購入およびその整理に用いた。国内旅費は、資料収集と台湾史研究者との打ち合わせに活用した。ただし、当初予定していた技師の子孫への聞き取りは十分にできなかった。海外旅費は台湾での調査費用に使用した。謝金は翻訳の謝礼として支払った。 平成15年度は、当初の研究計画通り、技師組織の研究に加えて、技師と台湾人資本の相互作用による農業経済への影響について、米穀を事例として研究を行う予定である。また平成14年度に十分行えなかった、技師の子孫への聞き取りなどを予定している。
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