今年度の前半は、主に日本国内に存在するパキスタンの企業、および企業家に関する文献の収集、ならびに整理を行った。特にアジア経済研究所図書館所蔵のパキスタンで発行されている雑誌等を中心に収集を行った。しかし、日本国内に存在するパキネタンの企業、企業家に関する文献は多くないのが現状である。 後半は、特にパキスタンでの現地調査(財閥本部への聞き取り調査)を行うための基礎資料の収集、整理を行った、具体的には、バーワニー財閥、ラクソン財閥の二つの財閥に焦点を当て行った、財閥の傘下企業が発行しているAnnual Reportやグループのプロフィール等を直接(パキスタンから)両財閥から取り寄せ整理を行った。それらをもとに3月21日から約1週間の子定でパキスタンでの現地調査を行う予定であったが、3月20日午前11時45分頃(日本時問)から始まったアメリカ軍他によるイラク攻撃により、今回の現地調査は取り止めとなった。なぜなら、パキスタンはイスラーム教国家であり、アフガニスタン問題(それ以前から)から国内で反米感情が高まっており、特に大都市であるカラーチー(私の調査地)では、それに伴うテロ、デモ等が起こる可能性が十分にあり不測の事態も起こりりることが考えられたからである。 研究を進めるなかで興味を持った点、ならびに明らかになった点は、まず一点目は、1935年ころ神戸に設立された日木初のムスリムモスクの建設にバーワニー財閥の創始者がかかわっていたことである。当時、バーワニーの創始者は神戸に代理店を開設していることが明らかとなった。この点についての事実関係の詳細は今後の課題であり、次年度以降も調査を続けたい。 二点目は、今年度調査対象として取り上げた財閥のほとんどが一族が中心となった企業経営が行われており、所有と経営が未分離であること。また外資とかなり密接な関係を持ち、技術提携や合弁企業の設立などを積極的に行っていることが明らかになったことであるこの点についても詳細を明らかにするために、次年度以降もさらに調査を続けていきたい。
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