研究概要 |
昨年度から継続している,タイの所得分配変化に関する実証分析の研究は,ワーキングペーパーにまとめ,("Why Has Income Inequality in Thailand Increased? An Analysis Using 1975-98 Surveys" Asian Development Bank Economics and Research Department Working Paper Series No.43 (June 2003)) 現在Japan and World Economy 誌に投稿中である.一度目の審査を終え改訂を促されでおり,現在この作業を継続している. また,日本の個票データを分析する目的で,全国消費実態調査を用いることとし,現在内閣府に個票データの利用を申請中である.データ取得に必要な事務的手続きが非常に複雑であり,まだ入手に至っていないが,来年度中にはこれを入手して,実証分析を終える予定である. ASEAN諸国のマクロ経済に関する実証分析を2つ行った.一つは河合正弘氏との共同研究であり,「ASEANのマクロ的相互依存と為替レート制度」,もう一つは単独研究で,「ASEAN諸国の持続的な経済成長の実現への課題-自助努力・直接投資を中心に-」と題されている.前者はASEAN諸国の相互依存関係の分析を通じて,適切な金融制度に関するインプリケーションを導こうとする研究であり,後者は直接投資の決定要因を探る実証分析である.いずれも3月中に報告書として財務総合政策研究所より出版される予定である. 同時に進行中であった金融市場の不完全さ性に関する理論的研究"Dynamic Inconsistency in the Public Supply of Liquidity"は,Japanese Economic Review誌にアクセプトされ,今年中に掲載されることが決定した.
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