平成14年度は中小零細企業の「財務」・「企業情報」データのサンプリングに費やし、大阪府下400強の(中小企業庁の定義による)中小企業データ(6期分)を得た。データ数は当初計画通りである。現在、データの整理中であるが、当初計画より半年ほど遅延している。遅れを挽回すべく、早急に作業を行っている。 予算制約からインターネット経由での「企業情報」の購入(東京商工リサーチ社製「tsr-van2」)を断念し、「企業情報」はそのハードコピーである閲覧可能な「東商信用録」から入手し、予算の大半を「財務」データ購入に充てた。サンプリング地域は、近年最初の信金破綻(1999年度、不動信金)や立て続けの信組破綻ならびに信金合併があったこと、「東商信用録」の利用のし易さ(当初神戸市立図書館を利用し、後に古書を入手。)、および貸出残高にみる製造業・非製造業の構成比が比較的全国と似通っているという理由から、大阪府とした。 対象企業を「東商信用録 近畿・北陸」1996、1998各年度版双方に掲載されている中小零細企業に絞り込み、約2万5千社のうち4215社がそれに該当した。2年分を用いた理由は次のようになる。取引金融機関が倒産する直前ほど、優良企業、特に担保価値のある資産を有する企業は借り換え動機があると予想される。このため、1998年記載の企業には、逆選択によって選ばれた企業が記載されている可能性もあり、これを可能な限り排除するため2年分のデータを用いた。 予備的検証として上記4215社のうち、1999年度から2003年1月までの倒産について調べたところ、約10%がこれに該当し、元不動信金取引先は約14%であった。しかし、2つの数値に統計的差異は無かった。
|