平成15年度は、大阪府下の中小企業について、データの追加購入および14年度に購入したデータに基づく分析を行った。追加購入したデータは、翌年度に利用する予定である。 平成10、11年に破綻した信金・信組と取引のあった企業の行動を、同時期に破綻した地銀と取引のあった企業の行動、およびそれ以外の中小企業の行動と比較検討した。その結果、以下のような結論が得られている。 ・平成11年、破綻により企業の借入金が減少した。取引順位が高いほど影響が大きく、インパクトの大きさも地銀に劣らない。 ・平成10年には特別信用保証枠が、借入金の減少を補っていたと考えられる。 ・また平成11年、企業には、企業間信用などによる資金繰りを行っていた様子が伺われ、翌12年度にはその限界に来ていた、ないしはその必要が無くなっていたと考えられる。 ・破綻後、譲渡先金融機関と取引が継続している企業数は、信金信組のケース、地銀のケースとも破綻前の約半数であった。地銀のケースでは、譲渡先金融機関と取引がなくなると、企業の借入が困難になっていた。一方、信金信組のケースでは、取引継続の場合には借入額は減少し、取引のない企業の借入額はむしろ増加していた。 ・地銀の業況が悪化すると、企業は取引金融機関数を増やす可能性があった。しかし、信金信組のケースでは企業が取引金融機関数を増やすという可能性は見出せなかった。 ・調達コスト(借入金利)についても検討したが、破綻によるマイナスの影響は確認できなかった。
|