弁証法的思考法の一般理論を明確化するために、社会心理学、発達心理学、認知心理学、教育心理学、社会認知、文化心理学といった心理学を中心とした文献レビューを行い、理解を深めた.分野の特性から、学際的な研究の成果が強く反映されている内容も多く、その際は必要に応じて、哲学や社会学などの文献にあたった.科学思想史などの文献にも、興味深い接点があった。 一般理論の理解と明確化をベースに、それを創造的コンフリクト解消研究の文脈の中で、具体的な仮説に落とし込む作業を進めた.仮説を構築する過程では、行動経済学や行動意思決定論、さらには知識経営の文献にあたり、本研究の興味に極めて近い仮説について、過去の実証の積み上げを確認した.ここでは、創造的コンフリクト解消研究においてこれまで蓄積された知見が、弁証法的思考法の般理論を捉えなおす可能性についても考慮した。過去の実証ではカバーされていない事柄については、デプス・インタビューやグループ・インタビューなどを行う事によって補うようにし、そこからの洞察をできるだけ取り込むように心がけた。 このようにして構築された仮説を整理し、体系化しながら、それらを効果的に実証する方法論、特に実験室調査のデザインについて検討した。現在、できるだけこちらの想定に合った調査参加者のプールを確保すべく手配を進めるとともに、パイロット調査等を行って、効果的に実証データが得られるように、調査のデザインを洗練させる努力をしているところである。
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