研究概要 |
本研究は、研究開発活動、技術資産、企業間知識フロー等について特許データを利用して,計測し、契約・訴訟・企業組織データ等と結合することによって、研究開発と知的財産管理の関係を実証的に明らかにすることを目的とする。中間年度となる平成15年度は、企業レベルの特許資産、特許引用、契約に関するデータベースの整備と分析を主に行った。とりわけ、企業間の知識フローに対して合弁事業が幅広く増加作用を与えるという知見と、ライセンス契約におけるランニング・ロイヤリティの使用に対し特許被引用数が負の影響を与えるという現象について、分析・考察し論文二編としてとりまとめた。具体的には、前年度科研費によって購入したMicropatent社の米国特許書誌データの整理及び特許引用の分析を行った成果として、「Joint ventures and the scope of knowledge transfer : Evidence from U.S. - Japan patent licenses」および「Running royalty and patent citations : the role of measurement cost in unilateral patent licensing」と題した二編の文部科学省科学技術政策研究所ディスカッションペーパーをとりまとめた。これに先立ち、分析作業や論文執筆のため英語OSのノート型PCを購入したが、処理量の多い分析や、英語版文献管理ソフトなどを利用した論文執筆作業の効率化に大いに役立った。また、米国長期出張を行い、ミシガン大J.Oxley助教授,Rosemarie Ziedonis助教授などと分析作業に即した意見交換ができ、大変有益であった。
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