本年度は3年間の研究期間の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をとりまとめ、公表することに力点を置いた研究・執筆活動を進めてきた。 本年度に行われた研究発表については、学術雑誌への論文掲載が4件、本への寄稿が1件、著書(共著)の執筆が1件と学会発表が2件である。これ以外に、大学・研究機関の研究会や産業界の講演会などでも研究報告の機会を得た。 代表的な学術論文発表の成果としては、「中国家電産業の発展と日本企業」(開発金融研究所報)、「東アジアの国際分業と国内産業集積の再生」(組織科学)、「グローバル戦略の展開と競争優位」(一橋ビジネスレビュー)、「産業構造調整下の国内産業集積の再生」(イノベーションマネジメント)などである。中国、ASEAN、日本のそれぞれの地域で起こっている産業構造の変化を日本企業の国際化戦略との関わりの中で分析している。 これらを通じて、中国をはじめとする東アジア諸国の市場統合や市場開放が進む中で、日本企業がどのように国際化戦略を展開し、本国との間に国際分業体制を確立するか、それらを通じて、本国側の事業体制や産業ネットワークをどのように再構築していくかということに関して、アジア各国と本国における日本企業の事業活動の実態把握、それらの分析と仮説の検証、その学術的意義の考察、さらには民間企業や産業界への報告や提言などがまとめられた。現在はこれらの研究成果を現在著書(単著)に取りまとめ中である。本研究助成における研究成果が書籍として公刊されることを幸いに感じている。
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