平成15年度の研究は中国の消費者消費行動に関するデータの収集とその分析を中心課題として行ってきた。アンケート調査の研究活動は主として中国の小売企業特にスーパーや量販店のマーケティングの担当者にアンケート調査表を送り、アンケートの質問に答えてもらい、調査表を回収し分析するというプロセスを踏まえて行われた。アンケート調査は半年間通して行われた。アンケート調査表を合計で683通郵送した。そのうち102通の回収ができた。全体的の回答率は約15%である。地域別に分けると北京に郵送された134通のうち15通、上海に郵送された458通のうち82通、広州に郵送された91通のうち5通とそれぞれの回収率が異なる結果になる。目下回収されたアンケートのデータに基づいた分析によってある程度の消費者性向が理解できるものの、より信憑性の高い結果に結びつくために、さらなる多数のデータが必要となる。そのため、今後もより多くかつより目的性の明確したアンケート調査を行っていく予定である。 他に、アメリカにおける早期のマーケティング実践および理論が著された著作や論文を中心とした文献研究をも進めている。中国では市場の競争原理および企業によるマーケティングの実践が導入される歴史は他の国や地域のそれに比べはるかに浅いが、多国籍企業の進出にともない、地域によっては、企業のマーケティング実践およびその手法が非常に成熟している。しかし、マーケティングに関する学問の研究はまだ草創期であり、研究文献も限られている。したがって、マーケティング理論および実践研究においてもっとも歴史の長いアメリカの研究文献は非常に貴重であり、中国のマーケティング実践と学問を理解するうえで非常に有益かつ不可欠であると考えられる。アメリカのマーケティングの発展に関する諸要因との比較研究によって中国のマーケティング特徴が浮き彫りにすることを試みている。
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