研究概要 |
本年度の研究においては,まず,NPM(New Public Management)に代表される公的機関における行政経営の遂行にあたって有用な管理会計理論・情報を構築する前提としての,公的機関における経営管理プロセス,意思決定プロセスについて検討を行ってきた。 本研究では,公的機関を,(1)エイジェンシー(Agencies)(行政機関が策定した経営計画に基づいて,ある特定の行政サービスを国民・地域住民に対して直接提供し,その提供プロセスが当該部門・組織内で完結する主体)と,(2)行政機関(政策・施策とそれを遂行するための資源配分に関する意思決定を行い,多種多様な行政サービスを提供する主体であり,さらにはエイジェンシーの業務をサポートする政府・自治体等)とに区分し,行政経営における経営管理プロセス,意思決定プロセスとそれらに有用な管理会計理論について分析するフレームワークを設定した。 そして,(1)エイジェンシーにおいては,当該部門・組織のミッションがより明確であるため,コスト低減と人的資源キャパシティの向上とその有効活用に焦点を当てた管理会計理論・情報を構築する必要性が高いことを発見した。一方,(2)行政機関においては,国民・地域住民のニーズに応えられるサービス・ポートフォリオの管理とそれらサービスの質的向上を達成するために,人的資源と情報資源のキャパシティとその柔軟性を確保することに焦点を当てた管理会計理論・情報を構築する必要性が高いことを発見した。 その上で,現在は,エイジェンシーによる行政サービスのコスト低減と質的向上を図る手法としてのPFI(Private Finance Initiative)に関して,その意思決定プロセスのあり方について詳細に検討を行っている。
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