研究概要 |
本研究は、組織内の合理性を促進するための「Trust/Distrust」機能という新しい理論的フレームワークに基づき、マネジメント・コントロールが果たす機能を特に「Distrust」の観点から再検討することを目的としている。 これまでの研究において、組織における「Trust/Distrust」関係に基づくマネジメント・コントロールの機能(「Distrustの合理化」機能)に関する理論仮説を導出し、これに基づき調査仮説を構築し、それを検証すべく東証一部製造業500社を選定した上で、1社当たりにつき役職・階層の異なる4人を抽出し、計2,000人を対象にしたアンケート調査を行なってきている。 本年度の研究では、まず回収したアンケートのデータ入力作業を行い、その集計結果をもとに、アンケートの調査仮説の検証を行った。そしてその検証結果に基づき、当初構築した理論仮説を検証している。 また、アンケートの集計・分析作業と平行して、これまで研究を進めてきた組織内の関係性におけるTrust向上のための「Distrustの合理化」機能という分析視角を企業間の関係性へと適用し、企業間の関係性においては、企業間コスト・マネジメント・システムが「Distrustの合理化」機能を内包しているとの観点から、企業間の関係性におけるDistrustの合理化を通じたTrust向上のモデルを構築し、それをもとにクーパー(Cooper, Robin)らの挙げる企業間コスト・マネジメント・システムを対象に考察・検討を行い、同システムにおける「Distrustの合理化」機能について明らかにした。
|