研究概要 |
今年度においては,公認会計士監査が,監査役監査および内部監査とどのような関係を有し,またどのような相互影響があるのかを検討するのに先立って,そもそも公認会計士が保証する財務諸表の質とはいかなるものであるのかについて検討した。一般に,公認会計士による監査は財務諸表の信頼性を保証するといわれるが,そこでいう「信頼性」がいかなる意味をもつ用語であるのかを明らかにするとともに,それが会計(学)の領域で用いられる信頼性とは異なった内容をもっていることを示した。さらに,現在監査基準等で規定されているゴーイング・コンサーン問題に対する公認会計士の対応を鑑みると,公認会計士による財務諸表の監査は,財務諸表の信頼性だけではなく,その目的適合性をも保証していると考えることが妥当ではないかとの観点から,さらに検討をすすめているところである。 また,監査役監査および内部監査を含めた企業の内部統制が,公認会計士監査にいかなる影響を与えているのかを明らかにするため,公認会計士に対するアンケートを準備している。公認会計士が監査計画を設定する際には,監査役および内部監査を含めた内部統制を評価しなければならないが,現在計画中のアンケートでは,そうした公認会計士による評価結果が監査計画にいかなる影響を与えているのかを明らかにすることに主眼が置かれる。次年度以降,監査法人の協力も得ながら,本アンケートを実施に移すことを予定している。
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