研究概要 |
研究初年度である本年度は,主として次の2点について研究を行った。(1)戦略論におけるリソース・ベースト・ビューについての研究,(2)組織スラック測定尺度間の整合性に関する実証研究。 まず(1)については,1980年代までの戦略研究の中心的な考え方であった組織と外部環境との関係をマッチさせようとする戦略論に対して,組織の持つ内部資源や能力をどのように組み合わせ,外部環境の中で活用するかという考え方であるリソース・ベースト・ビューについて主としてこれまでの研究成果をレビューした。特に本研究の課題である,組織スラック研究との関連性を考えながら研究を進め,来年度の実証研究に向けての仮説構築を行った。 また,(2)については,これまで財務データを利用したスケールによって組織スラックの測定を行った研究が数多く存在するが,それぞれの論者が主張する組織スラックの機能も異なっており,かつ代理変数としての財務指標や分析方法についても一致がみられていなかった。このため,従来の研究から得られた分析結果が果たして同じものを示しているのか,あるいは異なっているかを比較することが困難であった。そこで本研究では,組織スラックを絶対的尺度および相対的尺度を用いて測定するとともに,それぞれの尺度によって企業を分類した場合に,カテゴリー間にどの程度の一致がみられるのかについてコレスポンデンス分析を行った。
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