3つのべき乗数の和に関する問題については、2つの変数を素数に、残りのひとつの変数は概素数に限定できるという結果を得た。これはStuttgart大学教授のBrudern氏との共同研究として発表した。この際特異級数については、漸近的に等しいと予想される無限積を有限部分で切った有限積で近似することで、その下からの評価を与えることで処理した。3つのべき乗数の和に付随する特異級数に対して期待される無限積表示を与えることについてもBrudern氏と共同で研究を続けており、3つのべき乗数のうちの2つが平方数である場合と、平方数と2つの立方数の場合については成功している。残るのは、平方数と立方数と4乗数の場合と、平方数と立方数と5乗数の場合の2つの場合のみであるが、これらについては未完成であるため、この方向の成果についてはまだ発表していない。 一方、4乗数と5乗数のワーリング問題にかかわる例外集合の評価に関して、Wooleyによる積分評価の方法とある種の特別な恒等式を利用することにより、成果を得た。これはMichigan大学教授のT.D.Wooley氏との共同研究として発表した。ここにおいては、9個及び10個の4乗数の和で表せない自然数のそれぞれの密度に対して、また15個及び16個の5乗数の和で表せない自然数のそれぞれの密度に対して、現在最良の評価を与えた。 さらに素数の3乗に付随するワイル和に関する新しい評価を与えることに成功し、その評価と篩の方法を用いることにより、3乗数のワーリング・ゴールドバッハ問題に関する成果も得ている。これについては既に研究集会において発表しており、現在論文を作成している段階である。
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