昨年度に引き続き、加法的問題に円周法を用いる際の劣弧上の積分の評価に対する新しい方法を基にして、例えば5個の3乗数の和といった、指定された形の和で表せない自然数の分布についての成果を得た。この方法によって、例えばある一つの整数係数多項式がとり得る自然数値の集合という密度の薄い集合内における、上述のような例外の数の密度について、従来では自明でない評価が得られなかったり、あるいは非常に弱い評価しか得られなかったようないくつかの場合について、評価の質を向上させた。 さらに、技術的には同じ方法に基づき、ある個数のべき乗数の和として表される素数の存在、およびそういう素数の密度に対する下からの評価についての結果を得た。これらの結果はまだ弱く感じられるもので不満な点もあるが、この方向の研究としては初めての結果といえるものである。 以上の成果は、Stuttgart大学教授のBrudern氏とMichigan大学教授のWooley氏との共著の論文として発表しており、昨年度の実績報告書提出以降は2編が出版された。 また、3乗数のワーリング・ゴールドバッハ問題に関して、その特異級数がある種の1次元の篩に付随する条件をみたすことを基に、篩の方法と円周法を用い、十分大きい自然数は、7つの自然数の3乗の和で表せ、しかもその7つの自然数は全て高々4個の素数の積と制限できることを示した。この方向の以前の最善の結果は、素因数の個数が4個の代わり69個であった。この論文はActa Arith.誌に受理されており、近く掲載される見込みである
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