研究概要 |
頂点作用素代数の有限群論的な側面について研究を行った。中心電荷1/2のVirasoro代数(Ising模型)を部分代数として含むような頂点作用素代数のなかで,Ising模型のスペクトルのうち固有値1/16のセクターを持たない場合については,Ising模型のフュージョン則の自己同型が生成する部分群が3互換群であることが宮本雅彦氏によって示されており,特にIsing模型のテンソル積によって有限個のセクターに分解されるようなもの(枠付き頂点作用素代数)については,その分類が北詰正顕氏と宮本雅彦氏によりすでになされている。本研究では,そこに現れる3互換群を特徴づけるグラフの不変量と頂点作用素代数の性質との関係を利用することにより,より一般的な条件の下でIsing模型の生成する自己同型群を分類することができた。その際に,3互換群の分類結果を極力使わないようにするため,シンプレクティック型の3互換群の構造についても考察し,有限幾何のみに基づいて理論構成を見直す可能性も見いだすことができた。
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