研究概要 |
今年度の研究計画として申請者が掲げた目標は次の3つであった。 [1]対称Kac-Moodyリー代数の量子群の表現の結晶基底の幾何学的構成。 [2]上記の結果を対称化可能な場合に拡張すること。 [3]対称でないaffine量子群およびその表現の結晶基底の具体的記述。 この3つの目標のうち、[1]に関しては満足のいく成果が得られた。具体的には中島(啓)によって導入されたquiver多様体の、あるLagrangean部分多様体の既約成分全体に結晶構造が定義できることを証明し、さらに結晶として量子群の表現の結晶基底と同型になることを示した。この結果によって本研究の第一ハードルがクリアーされたことになる。 [2],[3]に関しては残念ながら計画通りには進まなかった。当初Dynkin図形の折り畳み(folding)を幾何学的操作に拡張することによって対称でない場合にも量子群の結晶基底を幾何学的に構成できるだろうと考えていたが、現時点では証明に至ってはいない。これらの目標に関しては残念ながら来年度に持ち越しという結果になってしまった。
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