研究概要 |
Dedekind domain Rの商体K上のcentral division algebra Dについて、Eichler型の強近似定理を一般化することが従来からの目標である。係数体が一般のときは代数関数体の場合でも、SL_1(D)についてEichler cond.がみたされても強近似性が成り立たない例がある。そこで、SL_1(D)の代わりに交換子群[D^x,D^xlを考えて、Eichler型強近似定理の一般化を試みている。 一般のPF体についてEichler型強近似定理の逆、すなわち「強近似性⇒Eichler cord.」は一般に成立する。この逆定理は二つの部分に分けられて、「Eichler cond.の否定⇒[D^x,D^x]は(イデール群の中で)離散的⇒強近似性の否定」となっている。Eichler型強近似定理の一般化が成立するためには「この二つの⇒がどちらも逆も正しい」ことが必要十分である。言い換えればどちらかでも反例が見つかれば、それは順定理の反例にもなる。 このように強近似定理の一般化は二つの部分に分けられて、それぞれが独立なconjectureである。特に後半のformulationは、Dedekind domainの商体の場合にも一般化できる。 以上の研究の副産物として、non-central単純性に基づく議論によって、四つの強近似性(a)〜(a''')の同値性が得られる。 (a)[D^x,D^x]は[D^x_A,D^x_A]の中でdense (a')[D^x_A,D^x_A]はD^xの閉包に含まれる。 (a'')[D^x_A,D^x_A]はR^x_AD^xの閉包に含まれる。 (a''')[D^x_A,D^x_A]はK^x_AD^xの閉包に含まれる。 Eichler型の強近似定理の一般化の成否については今のところ見通しが立っていず、幾つかの具体的な体の場合について調べているところであるが、それでも十分難しいことが分かってきた。
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