研究概要 |
1.昨年度,Yougnダイアグラムの"アフィン化"として,無限個の箱からなる,周期性を持った斜Yougnダイアグラム(アフィン斜ダイアグラムと呼ぶ)を導入し,その上のスタンダードタブローを用いたA型の(退化)ダブルアフィンHecke代数の表現の構成について研究を行ったが,今年度、さらにアフィン斜ダイアグラムとタブローの理論の一般論に重点を置いて,この研究を進めた.結果,ダブルアフィンHecke代数のcalibrated表現と呼ばれるクラスに対して,本質的にタブローの理論の一般論だけを用いて,既約表現の分類や指標公式,分岐則などを得ることができることが分かった.この結果は,"ダブルアフィンHecke代数の表現と,Young図形"及び"Tableaux on periodic skew diagrams and irreducible representations of double affine Hecke algebra of type A"にまとめた(後者は現在校正中). 2.以前,名古屋大学の荒川・土屋両氏との共同研究により,Knizhnik-Zamolodchikov接続を用いて,A型のアフィンLie代数<sl>^^^^_nの表現から退化ダブルアフィンHecke代数の表現を構成したが,今年度の研究により,特に<sl>^^^^_nの可積分既約表現に対応する退化ダブルアフィンHecke代数の表現が,既約なcalibrated表現になることが分かった.上の結果と合せると,この表現の構造はアフィン斜ダイアグラム上のスタンダードタブローを用いて完全に具体的に記述されることがわかる.また,この表現はある誘導表現の唯一の既約商加群と同型になるごとも分かる。従って,同型な既約表現の三通りの異なる構成が得られた.この結果については現在論文作成中である.
|