複素射影的平面代数曲線の補集合で対数的小平次元がゼロ以上となるものの対数的多種数に関して、次のような結果を得た。まず、対数的小平次元が1以下の平面代数曲線の補集合の構造定理を用いて、対数的小平次元がゼロまたは1となる平面代数曲線の補集合の対数的2種数が常に正になることを証明した。また、対数的小平次元が2となる平面代数曲線の補集合でその対数的2種数がゼロになるとき、その曲線は単尖点有理曲線になることを証明した。これにより、既約とは限らないアフィン平面代数曲線の補集合に対して、その対数的小平次元がゼロ以上になることとその対数的2種数が正であることが同値である、という倉本氏の結果を拡張した結果を得ることができた。更に、単尖点有理曲線で補集合の対数的小平次元が2で対数的4種数または対数的6種数がゼロになるものを、対数的宮岡-Yau不等式と尖点有理曲線に対する松岡-酒井の不等式を用いることにより分類し、そのような曲線は同型を除いて一意的に存在することを証明した。これにより、射影的平面代数曲線の補集合の対数的小平次元がゼロ以上であることとその対数的6種数が正であることが同値であることが示された。 それから、昨年度得られた任意標数での正規完備代数曲面上の数値的に正となるカルティエ因子に関する研究成果を用いることにより、非特異3次元射影的代数多様体でその反標準因子の飯高次元がゼロ以上のとき、その代数多様体がファノ多様体であることとその反標準因子が数値的に正であることが同値であることを証明した。この結果は基礎体の標数がゼロの場合は松木氏によって証明されているが、基礎体の標数が正の場合にも成り立つことが分かった。
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