研究概要 |
n次元偏極多様体(X, L)の不変量である次数と断面種数の一般化として研究代表者が定義した第i断面幾何種数g_i(X, L)(iは0【less than or equal】i【less than or equal】nなる任意の整数)の基本性質やこれらを用いた応用について重点的に調べることが研究目的である.今年度においては次の1,2を研究実施計画とした. 1.Xが非特異の時,豊富な因子Lの完備線形系の基点の集合の次元とiとの間に制限を加えることによりどの程度までg_i(X, L)の非負性がいえるかについて考える. 2.Lが非常に豊富な因子の場合,不等式g_2(X, L)【greater than or equal】h^2(O_X)が示せるが,このときg_2(X, L)-h^2(O_X)の値が小さい時の(X, L)の分類について調べる. まず1について次の成果をあげた. (1)Xを非特異で,Lの基点の集合の次元をmとすると,i【greater than or equal】m+1を満たすなら不等式g_i(X, L)【greater than or equal】h^i(O_X)が成り立つことを示した.(Xがある程度の特異点を持つ場合についてもこの不等式が成り立つこともわかった.) (2)Xがアーベル多様体でLが一般の豊富な因子の時,0【less than or equal】i【less than or equal】nなる任意の整数iに対して不等式g_i(X, L)【greater than or equal】h^i(O_X)が成り立つことを示した.さらにg_i(X, L)=h^i(O_X)となるための必要十分条件はi=n,もしくはi=n-1かつL^n=n!であることも示した. さらに2について次の成果をあげた. 0【less than or equal】g_2(X, L)-h^2(O_X)【less than or equal】1なる(X, L)の分類が得られた.またg_2(X, L)-h^2(O_X)=2なる(X, L)についても大雑把な分類が得られているが,さらに詳しい分類について来年度以降も研究を続けたい.
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