研究概要 |
今年度においては次の(1),(2)を研究実施計画とした. (1)Lが非常に豊富な因子の時,2【less than or equal】g_2(X, L)-h^2(O_X)【less than or equal】5なる偏極多様体(X, L)の分類について調べる. (2)第2断面幾何種数等を用いて,代数曲面において知られている結果を偏極多様体の場合に一般化できるかについて調べる. まず(1)について次の成果をあげた. 2【less than or equal】g_2(X, L)-h^2(O_X)【less than or equal】4かつdimX【greater than or equal】4の時とg_2(X, L)-h^2(O_X)=5かつdimX【greater than or equal】5なる偏極多様体(X, L)の分類がだいたい決定できた.しかし今の時点ではさらに詳しい分類が必要になる. さらに(2)について次の成果をあげた. まず偏極多様体(X, L)に対して第i断面H-算術種数χ^H_i(X, L)なるものを定義した.これはi次元非特異多様体YにおけるHirzebruchの意味での算術種数χ(O_Y)に対応する不変量である.χ^H_2(X, L)とg_2(X, L)を用いて代数曲面で知られている著名な結果を偏極多様体の場合に一般化して問題として提起した.その問題の一つの答えとして,n【greater than or equal】3,Lが一般の豊富な因子,κ(X)【greater than or equal】0のとき,χ^H_2(X, L)>0が成立することを示した.これは言い換えるとg_2(X, L)【greater than or equal】h^1(O_X)が成立することである.これらについては京都,高知,新潟でおこなわれた研究集会で発表した.また今回提起した他のいくつかの問題が正しいかどうかを調べるのは今後の課題である.
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