研究概要 |
kを実二次体とする。k上定義された楕円曲線を導手により分類することは、理論的、応用的な観点どちらから見ても大事なことである。そこで実際に楕円曲線を分類しようとすると、様々な不定方程式が現われ、それらが分類作業の障害になる。そこでそれら不定方程式について研究することが重要になるわけであるが、今年度はそのうちの一つであるX^3=u+v(Xはkの整数、u,vはkの単数)について研究し、以下の結果を得た。 定理.pをp≠3,p≡3(mod4)なる素数とし、k=Q(√<3p>)とおく。またεをkの基本単数とする。 (1)p≡1(mod3)とする。ord_3(Tr_<k/Q>(ε)+2)が3の倍数でなければ、X^3=u+vの解は自明な解のみ(即ちu=-v,X=0のみ)である。 (2)p≡2(mod3)とする。ord_3(Tr_<k/Q>(ε)-2)が3の倍数でなければ、X^3=u+vの解は自明な解のみである。 今まで研究代表者は、いくつかのpに対しこの方程式が解を持たないことを示している(一部はActa Arith.96(2001),231-245に出ている定理を証明するのに使われている)が、その時はp毎に方法を模索していたのである。しかしこの定理に述べられている簡単な判定法を用いたら、それらの殆ど全てを証明することができた。
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