研究概要 |
kを実二次体とする。昨年度から、k上定義された導手が自明な楕円曲線との関係で、k上の不定方程式 (1) X^3=u+v(Xはkの整数、u,vはkの単数) を調べている。昨年度は、方程式(1)が自明な解(即ちX=0であるような解)のみしか持たないための十分条件を得たが、今年度は、kに若干の制限をつければ、全ての解を求めることが出来るようになった。具体的には、次の定理を得た: 定理.pをp≠3,p≡3(mod 4)なる素数としk=Q(√<3p>)とおく。方程式(1)が非自明な解を持つとする。 (a) p≡1(mod 3)の時、N_<k/Q>(X)^3は平方数の-3倍、N_<k/Q>(X)^3-4は平方数の-p倍である。 (b) p≡2(mod 3)の時、N_<k/Q>(X)^3は平方数の3倍、N_<k/Q>(X)^3-4は平方数のp倍である。 よって、定理の状況では、楕円曲線±py^2=x^3-4の有理整数点を全て求めれば(1)のkにおける解が全て求められる。(±py^2=x^3-4の有理肇数点を求めることは、フリーの数論ソフトKASH, SIMAIHなどを使えばできる。) この定理を使い、方程式(1)がどれくらい解を持つか、pを動かして実験してみた。調べた範囲では、解は高々一組であった(一組とは、共役を取る、単数の3乗を掛けるなど、一つの解から自明な方法で得られる解は同じものであると考えた上での組である)。よって、定理の状況では、解は高々一組であると予想されるが、そのことを証明するには至っていない。今後の課題である。
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