研究概要 |
本年度の研究成果は以下の通りである.:まず今までの非正曲率距離空間の収束理論に関する研究成果が,研究論文2編として別記の通り,今年度出版の学術雑誌に掲載されたことを報告する.加えて本年度は,未解決であったあるリーマン多様体に対するコンパクト化の問題に対して,猿子氏(佐賀大.理工)と大塚氏(九大・数理)と共同で肯定的に完全に解決した.その中で得られた主な定理は次である 定理.動径的に断面曲率がおよそ非負な完備,開Riemann多様体の漸近錐は点付きGromov-Hausdorff極限として存在する.さらに:(1)そのようなRiemann多様体は半直線の漸近関係を用いてコンパクト化可能であり幾何学的理想境界を持つ. (2)そのようなRiemann多様体の漸近錐は元の多様体の理想境界上のEu-clid的錐と等長的である. また本研究の応用として,断面曲率が漸近的に非負な完備,開Riemann多様体の漸近錐が,ある特別な場合を除いて,Alexandrov空間であることも結論付けることができる.さらに,この問題の中の研究対象は,非正曲率距離空間も一部含んでいる.また特に,実際の筆者の貢献は既存の非正曲率距離空間の収束理論のアイデアと融合させた所に重きがある.尚,本研究内容は研究論文・Y.Mashiko, K.Nagano, and K.Otsuka, The asymptotic cones of manofolds of roughly non-negative radial curvature.として執筆し然るべき学術雑誌に現在投稿中である. また年度を通して,国内の研究調査や研究者交流を積極的に行った.さらに,海外渡航として,本年度はサンクトペテルブルク(ロシア)で開催された国際研究集会「Second Russian-Geman Geometry Meeting」.に出席し研究打ち合わせを行った.
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