研究概要 |
3次元Euclid空間内の2つの曲面は接線叢があたえられ,対応する2点間の距離が一定で,更に対応する2点での法ベクトルのなす角が一定のとき負定曲率曲面となる.このような曲面族は古くから可積分系理論の分野で知られるsine-Gordon方程式として記述される.上述の曲面の変換を一般化し,接線叢があたえられ,対応する2点でのGauss曲率がともに負で等しいことを要請すると,Gauss曲率の-1倍の平方根の逆数が漸近線座標に関してLorentzの意味で調和となり,このような曲面族はBianchi曲面とよばれる.一方3次元Euclid空間内の平均曲率一定曲面の自然な一般化として定義される調和逆平均曲率曲面はその双対ともいえるBonnet曲面と合わせて筆者等により今日まで多くの研究がなされている.調和逆平均曲率曲面が主曲率の比を保ったまま第一基本形式を共形的に変形できるのに対し,Bianchi曲面は主曲率の比を保ったまま,即ちChebyshev角を保ったまま第二基本形式を共形的に変形できる.今年度では負定曲率曲面や極小曲面を含む一般化されたChebyshev網により径数づけられた曲面とでもよぶべき概念を導入した.これは平均曲率一定曲面,Bonnet曲面,調和逆平均曲率曲面において曲率線に沿った等温座標が取れるという概念に対応する重要なものであると期待できる.特にそのような性質をもつChebyshev角が一定のBianchi曲面は常螺旋面の一部であることを示した.
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