研究概要 |
本研究の目標の一つである「非コンパクト型対称空間の等質超曲面の分類」という問題に重点的に取り組み,既に得られていた結果を論文として発表すると共に,新たな結果も多く得られた.論文として発表されたものは,裏面の研究発表の項目に記載された通りである.新たに得られた結果の中には,階数1の非コンパクト型対称空間の超曲面の「かたち」に大きな制約を与える定理が含まれており,これは分類に向けての大きな進歩である.非コンパクト型対称空間の等質超曲面の分類は,実双曲空間の場合しか知られていないが,我々の得た結果を適用することによって,複素双曲空間の等質超曲面の分類が得られる.現在,他の階数1対称空間の場合についても研究中である. また,可解群や巾零群の幾何学についての研究も行った.非コンパクト型対称空間は可解群として実現できることが知られているが,その「類似」の可解群を考えることによって,等質アインシュタイン多様体の新しい例を構成することが出来た. これらの研究を遂行するため,国内外に出張し,多くの数学者と研究打ち合わせを行った.特に,本科研費の援助を受けてドイツのOberwolfach研究所に滞在し,Jurgen Berndt氏(イギリス,Hull大学)と共同研究を行ったことは,非常に有意義であった.
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